今までもポップスターや、ガールズアイコンと言われるアーティストはたくさんいたけれど、アリアナ・グランデが放っていたのは、単純なキュートさとは違う、もっと私たちが彼女に何かを託したくなるような不思議な魅力だった気がする。ディズニーのプリンセスを思わせるキュートな見た目と身長150cmほどの華奢な体からは想像もできない圧倒的な声量で歌う彼女は、瞬く間にスターダムを駆け上がった。ヒット曲も数え上げたらキリがない。どれもこれも繰り返し聞いて口ずさんだものだ。
そんなアリアナが5月の初めに結婚した。お相手は高級不動産エージェントであるダルトン・ゴメス。
2人の軌跡をプレイバック
アリアナとダルトンは2020年の年明けから交際が始まったとされており、2人の控えめな交際は噂はされていたものの、ジャスティン・ビーバーとのコラボ “Stuckwith U”で公にされた。
Ariana Grande & Justin Bieber - Stuck with U
以降、SNSでダルトンの誕生日や、
憧れのレディー・ガガとの共演を果たした2020年8月のMTVビデオ・ミュージック・アワードでちゃっかり2ショットを載せたりと、
控えめながらも順調な交際を見せてくれていた2人は今年の5月12日に結婚した。
挙式は自宅で執り行われ、出席したのは20人にも満たない数だったと言われている。多くのファンが期待していた盛大でゴージャスなものとは違ったが、今も続くコロナ禍の影響と、それに合わせた2人の結婚までの控えめな交際を考えると、納得がいく。
「Teen Vogue」は『People』誌を参照しながら、アリアナの結婚式の様子を、このように可愛いらしい表現で祝福している。
（式を行った）部屋はとても幸せで、愛であふれていた。2人にとっても、両家にとってもこれ以上の幸せはないだろう
ダルトンがアリアナにとてもロマンチックな夫婦としてのファーストキスをしていて、写真は部屋のなかの愛を受けて煌めいている。
これまでのアリアナとこれからのアリアナ
ダルトンとの関係は、アリアナにとっては2018年にスタンドアップ・コメディアンのピート・デヴィッドソンとの婚約を破棄して以来のロマンスだった。
ピートとの破局後、アリアナが出したアルバムのタイトルは『thank u, next』で、初めてフィーチャリングのいない単独でのフルアルバムだった。
このアルバムではヒップホップの手法としてのセルフボースト（自分の財力やスキルなどを自慢するというヒップホップホップの手法）が強く打ち出されていた。
また、アルバムタイトルにもなっている楽曲「thank u, next」では、過去のボーイフレンドの名前を次々に出した後に、
“I’m so fuckingrateful for my ex. Thank u, next.”
「元彼にはすごく感謝してるわ。ありがとう、（でも）次の人どうぞ。」
と未練を見せずに、次の恋人を探すことを宣言している。
Ariana Grande - thank u, next (Official Video)
この曲で、アリアナは、クールでかっこよくて強い女性のロールモデルを示し、女の子だけでなく、シス男性、LGBTQなどさまざまなジェンダーのファンから絶大な支持を受けた。
そして、今年、ダルトンとの結婚直前に発売されたアルバム『positions』は、男性が求めるようなセクシーさとはまた異なる、女の子のhorny（セクシャルにムラムラすること）をイノセントに表現するという、常人には及びもつかない、さらにパワーアップした姿を見せてくれている。
これ見よがしにセクシャルな表現をするのではなく、受け身だけではない女性の権利を、ポップにクールに、そして相変わらずキュートに表現しているアリアナは、結婚してもなお、これまで通り私たちの希望に、そしてこれからの私たちのアイコンになってくれるだろう。
5月27日には結婚後初のパフォーマンスとして「2021 iHeartRadio Music Awards」に出演したアリアナ。2014年の「Love me harder」ほか、幾度もコラボをしているThe Weekndとともに、4月にリリースされたリミックス「Save Your Tears (Remix)」を披露した。The Weekndが、結婚した女性らしいレディーな装いで現れたアリアナのパフォーマンスに聞きいる素振りを見せる場面もあった。
The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears (Live on The 2021 iHeart Radio Music Awards)／YOUTUBE
演奏後、観客からの熱狂的な拍手喝采に対して、美しい背中を見せて答えたアリアナ。先進的な女性のロールモデルでありながら、彼女のプリンセスらしさは薄れることがない。ディズニーのファンタジーではない、血の通ったプリンセス・アリアナは、これからも私たちを愛らしく鼓舞し続けてくれるはずだ。
