未来に向けて、まずは考えを共有しよう──アンケート調査(7/29〜8/7)の結果から
この記事では、私たちelaboが去る7月29日から8月7日に実施した「若者がどのような政策に関心を持っているか」を調査したアンケート調査の結果をご報告する。主にSNSを通じて拡散され、計516人の方にご協力いただいた。
未来に向けて! 若者が関心を持つ政治課題
politics
2021/08/16
執筆者 |
みっさん+elabo編集部

21歳。経済学部出身。行動経済学を学んでいる、めっちゃ明るいサブカル好き。

私たちの狙い

 

この記事では、私たちelaboが去る7月29日から8月7日に実施した「若者がどのような政策に関心を持っているか」を調査したアンケート調査の結果をご報告する。主にSNSを通じて拡散され、計516人の方にご協力いただいた。まずご回答いただいた方に、心から感謝を申し上げたい。本当にありがとうございました。時期としては、オリンピックが行われるなか、コロナ感染者が激増し、首都圏を中心に緊急事態宣言が出された最初の1週間である。

 

私たちがこの調査を行った動機は以下のようなものだ。2021年の秋には4年に一度の衆議院議員選挙がある。この選挙が大切であることは頭ではわかっているが、ストレートに「投票に行こう」と身近な同世代に呼びかけることは何か違う気がする。そのように思うメンバーがelaboの編集部に多数存在した。話し合った結果、私たちが自覚したのは、投票に行くことで政治が良い方向に変わることを私たち自身が信じることができないままに、ただ「選挙に行くこと」を勧めることには欺瞞を感じざるを得ないということだった。そこで、私たちは、まずは同世代が、お互いが何に関心を持っていて、どのような問題に関しては一致できるのかを共有することから始めることにした。それは私たちの世代が政治に何を期待しているのか、何を求めているのかを可視化することにもなるはずだ。

 

私たちは、今回の調査を予備調査とし、次回は質問紙の質問項目などを改良(コロナ対策を含める予定である)、細分化したうえで、さらに広範にデータを集め各政党の選挙公約と照らし合わせる予定である。「私たちの世代の要望はこうだ」と政策立案者に明確に示すためにも、ぜひ、次回の調査(より選挙が近づいた時期に実施予定)にも回答、拡散にご協力いただくことを、改めてお願いしたい。

 

アンケート結果

 

政治において若者が関心を持っている項目とその関心度合いについては以下のような結果となった。調査様式はGoogle フォーム(Google Forms)のアンケートで、複数回答可の様式としている。

政治において若者が関心を持っている項目とその関心度合い





関心が高い順に「雇用への関心」「年金制度(年金制度は私たちの代まで続いて、本当にもらえるのか)」「若者を気にかけた政治をしようとしているのか」「選択的夫婦別姓」「消費税」が挙げられる。対して、「所得税」「生活保護」「奨学金問題」については関心が低い。年齢別に見たデータからは、年齢が上がるほど「選択的夫婦別姓」(27歳以上では90%を超える)や総じて低い「所得税」への関心が上がることから、当然と言えば当然だが、自分自身が直接関わっている身近な案件に関心を持つ人が多いと予想される。雇用と年金に特に関心を持っているということは、私たちの同世代が将来の生活への不安を抱えていることを示していると言えるだろう。

 *欄が赤くなるほど関心度合いが高く、青くなるほど関心度合いが低い。

 

当事者ではない問題への関心の薄さ

 

しかし、私たちの世代が、身近な「自分ごと」として「雇用」や「年金」に関心を持っていると仮定した場合、「奨学金」や「生活保護」への関心の低さは、同世代の連帯を目指す意味では考えさせられる結果である。実際に奨学金を得ながらアルバイト生活をしているelaboメンバーは、「この関心の低さはとても残念だ」と語っていた。質問同士の関係を検討すると、「生活保護」や「奨学金」に関心がある人は、「年金」「LGBTQ」「女性活躍」に至るまでさまざまな社会問題に関心を持っているが、逆は成り立っていない。アンケートに答えてくださるような協力的な方々が被験者であっても、このような結果になっていることには考えさせられる。社会のなかの自分の立場に囚われないでいかに合理的な判断ができるか、というジョン・ロールズの「無知のヴェール」の問題でもあるが、私たちの世代が富の再配分を、いかに「自分事」として捉えられるようになれるのかは、私たちウェブサイトも考え、取り組むべき課題だと感じる。この視点がなければ、結局私たち自身も未来世代の利害を考えることが困難な大人になってしまうからだ。

 

ほかに共有したいこととしては、「性教育の見直し」「LGBTQ+」「同性婚法案」「選択的夫婦別姓」「女性活躍」にそれぞれ関心を持っている人の8~9割弱は、ほかの3要素に関しても関心を持っており、「性別的な差別問題」について関心を持つ人はどの問題も気にしており、関心が高いと言える。

 

自由記述には、多くの興味深い意見が見受けられた。ごく少数になって恐縮だがいくつか紹介させていただく。

 

未来に向けて!

 

新卒一括採用の廃止。社会のレールから外れた人に対する偏見や差別をなくしていってほしい。選択肢を増やしてほしい。

若い政治家がより多く生まれるべき。若者自身の中から政治家を輩出することが重要。そのための立候補支援制度や、被選挙権年齢の引き下げを。

環境教育の積極的な取り入れ、沖縄やアイヌなどマイノリティである日本の民族に関する教養知識の学びの充実、人権教育・市民教育を推進すべき。

教員の働き方改革の実践、積極的な外部人材の登用。

短期的な経済効果を追求する応用工学偏重の教育研究体制を見直し、企業とは異なる大学の価値を社会的に再認識すべき。

大学学費は無償化し、大学院生にはむしろ給与を支払うべき。

 

同世代にこれほど積極的かつ具体的な施策について考えている人がいることは大きな励みである。加えて、現在の政治家に対しては、「若者が政治に興味がないことが平和の証だなどと抜かしていることに怒り心頭である」「論点をずらし続ける総理や政治家に対して不満がある」と言った不満も語られていた。

 

私たちは、引き続き調査を定期的に継続し、同世代の関心の共有、同世代が関心を持っている政策についての情報提供を行っていく。また、未来世代の利益という視点から、政治家が何をしようとしているのかに注意を向けていこうと思う。今後ともご協力をお願いします。

写真 | 森岡忠哉

politics
2021/08/16
執筆者 |
みっさん+elabo編集部

21歳。経済学部出身。行動経済学を学んでいる、めっちゃ明るいサブカル好き。

写真 | 森岡忠哉
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