2021年、私の「選挙」──私は私が求める「明るい未来」が見たい
フェミニストというとすべてに対して「リベラル」であるというイメージを持たれることがある。しかし、私はそのような立場ではない。アイデンティティや文化に関してはリベラルで、国防などに関しては保守的なスタンスに近い。
#衆議院総選挙 #期日前投票 #アイデンティティと文化と国防
politics
2021/10/27
執筆者 |
希麗
(きら)

20歳、大学3年生。滋賀県出身の台湾好きなフェミニスト。

なぜか私の投票地域に“推し政党”の候補者がいない。

 

前提として、私は今回の選挙まで衆議院と参議院の違いを説明できないほど政治に対しての知識がなかった。そんな私にとって今回の「野党共闘」は難しすぎた。投票することがカッコイイと思っている私は、選挙期間が始まり早々に自分の地域の候補者をチェックした。すると推し政党の候補者がいないのだ。「“野党共闘”って何……。」テレビを見ないがゆえに情報をつかめず、おかげで比例代表制についてもググりなおすことになった。比例代表制で推し政党を書けることを知り、ひと安心したのも束の間、自分の地域の候補者に投票したくないといった感情に襲われた。まったく魅力を感じないし、正直投票したくない。誰も国会に送りたくないのだ。とはいえ、現状のまま自民党が与党として居座り続けることのほうが嫌なので投票することにした。

 

投票すると決めたはいいものの、私の地元はずっと自民党が勝利していて、今回も優勢だそうだ。野党支持の私からすると、「田舎なんてそんなもんですよ、変わる必要性誰も感じてませんから。保守でいいんだそうです。」と臍を曲げたくなる。一方で、私の周辺には嬉しい大きな変化があった。

 

投票と自分を結びつける

 

ある日の夜、父に「選挙行こうね〜」と言ったら「行く」と返ってきた。衝撃だった。なぜなら私の知る限り、父は今まで一度も選挙に行っていなかったからだ。この背景には「同性婚と選択的夫婦別姓」は自民党政権である限り絶対実現しない、と伝えたことがある。父は特に同性婚賛成だからこそ、この2点を重点的に伝えた。

一人ひとりへのアプローチを変えれば確実に投票につながる方法がある。「投票に行こう」だけでは不十分なのかもしれない。「なぜ」投票に行かなければならないのか、投票率が低いことを理由にするのではなく、もっと自分たちの生活や考え方に近いものを提示することが必要なのではないだろうか。

投票は「面倒くさい」ものなのだ。どれだけ大切だとわかっていようとも、実際に数分で済むと知っていようとも投票のために時間をつくることはたしかに面倒くさい。だからこそ、個人単位の理想や正義と政治を結びつけたアプローチが必要であり、「面倒くさい」から「変えたい、変える」へのシフトが重要なのではないか。

今まで投票に行っていなかった層が投票に行けば、確実に社会は変わる。もしかしたら、今回の総選挙では自民一強の私の地元に新しい風が吹くかもしれない。かなりワクワクしている。

 

アイデンティティと文化と国防

 

フェミニストというとすべてに対して「リベラル」であるというイメージを持たれることがある。しかし、私はそのような立場ではない。アイデンティティや文化に関してはリベラルで、国防などに関しては保守的なスタンスに近い。

自由を重んじるアメリカのような家庭で育ったからか、小さい頃から「私は私」で生きてきた。そのため、私にとって「選択的夫婦別姓」や「同性婚」というトピックはこれからの自分の未来に直結する最重要な内容だ。アイデンディティの尊重を重視しているからこそ、私はこれらのトピックスに関心があり、絶対に実現してほしいと強く願っている。

一方で、国防や外交に対しては詳しくないながらも保守的なスタンスに近い考え方を持っている。かぎろひさんの「脅威に対して曖昧で弱腰な態度を示すのではなく、毅然とした態度で立ち向かえる国家になってほしい。」(「2021年、私の「選挙」──10月21日」)という発言には同意している。私もかぎろひさんと同様に、国が国民を守るために最低限の力は必要であると考え、国防を脅かす各国の行動に対して毅然とした態度ではっきり発言してほしいと思っている。一方で同じかぎろひさんの「対外的な守りの強さの獲得を通して誇りを取り戻してほしい。」という発言には同意できない。私には「強さを誇りにする」という考え方はどうも危うく映る。力を誇りにするのではなく、この国が持つ素晴らしい文化や人材が誇りになってほしいと思うのである。

 

私は私が求める「明るい未来」が見たい

 

私たちはグラデーションのなかで生きている。白か黒で表せることはそこまで多くない。

一人ひとりの考え方は違って当たり前で、異なる意見を持つことは当然だ。十人十色の考え方があるなかで、答えを自分で決めている。それぞれがそれぞれの正義を掲げながら、日本の未来を思って今回の選挙について発信している。誰も「この国を破滅させてやろう」なんて思っていないだろうし、みんな自分のために、より良い社会と未来のために声を上げている。

 

私は社会の・国民の本当の声がこの選挙で知りたい。

私が知らない社会はどう思っているのか、何を求めているのかが知りたい。

自分が知らない部分のグラデーションを知りたい。

私はグラデーションのなかにある濃淡を丸ごと愛しながら認め合い、尊重し合いながら協働している社会が見たい。

 

一人ひとりの正義があって、言葉を使って対等にぶつかり合える自由が保障されていることが、日本の素晴らしい部分だと思う。そして、この国のなかで声を届ける一番の方法は投票なのだ。一票じゃ変わらないかも、私もそう思う。でもやってみなきゃわからない。投票せず、選挙で自分がいいなと思っていた候補者が一票差で負けた時、私は後悔したくない。自分なりに頑張って学んで投じた一票が社会を変えると私は信じたい。

 

未来は私たちのためにあり、私たちには明るい未来を生きる権利がある。

私は私が求める「明るい未来」が見たい。

politics
2021/10/27
執筆者 |
希麗
(きら)

20歳、大学3年生。滋賀県出身の台湾好きなフェミニスト。

写真 | 森岡忠哉
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