あなたが立っている「境界線(FINE LINE)」はどこ?:SIRUP × Skaai × uin インタビュー
時系列というか、物語に対してファンになる、そういう時代になっていくんじゃないかなっていう気がします。もちろん点として作品のすごさを最大化するのはそうなんですけど、やっぱどうしても商品のスピードが速いから、「点より線」っていう風に、アーティストが考えを変えないといけないかなって思います。
#SIRUP #Skaai #uin
culture
2023/04/25
インタビュイー |
SIRUP、Skaai、uin

【SIRUP PROFILE】ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと、自身のルーツであるネオソウルやR&BにゴスペルとHIPHOPを融合した、ジャンルにとらわれず洗練されたサウンドで、誰もがFEELGOODとなれる音楽を発信している。2021年には2nd フルアルバム「cure」をリリースし、同年「FUJI ROCK FESTIVALʼ21」に、国内のR&Bアーティストでは異例となる初出演でメインステージ GREENSTAGEに立ち、圧巻のパフォーマンスを魅せた。2022年に入ってからも世界的ポップスター「Years & Years」のRemix参加や、アイリッシュ・ウイスキー「JAMESON」、オーディオブランド「BOSE」とのコラボを発表、11月には自身初となる日本武道館公演を開催するなど、日本を代表するR&Bシンガーとして音楽のみならず様々な分野でその活躍を広げている。

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【Skaai PROFILE】アメリカ合衆国・ヴァージニア州生まれ、大分県育ちのアーティスト。日本語・英語・韓国語が堪能なトリリンガル。AbemaTV「ラップスタア誕生 2021」ではその実力とポテンシャルを見込まれ、審査員から高い評 価を得た。2021年11月にリリースした1st Single『Period.』では、新鋭ビートメイカーuinと共に重 層的にジャズとヒップホップの要素を取り入れ、新鮮なラップとソウルフルな歌唱力を世に知らしめる。2022年2月、『Period.』の続編的な意味合いを持った楽曲『Nectar.』をリリース、レッドブル のマイクリレー企画「RASEN」に出演しBose(スチャダラパー)、田我流、BIMとの共演を果たす。 また幕張メッセで初開催された国内最大規模のヒップホップフェスティバル『POP YOURS』に出演した。同年9月にはBIMとDaichi Yamamotoが客演参加した自身初のEP『BEANIE』をリリースし、同年11月には、そのタイトルを冠したワンマンツアー「BEANIE TOUR 2022」を福岡、大阪、東京にて開催した。同年12月には、1年を通したアーティストとしての心情の変化を綴ったシングル「Mermaid」を盟友uinとのダブルネームでリリースした。

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【uin PROFILE】uin.(読み:ユイン) ビートメーカー/プロデューサー。様々なジャンルを横断し、既成の構成に留まらない大胆かつ個性的な展開を、武器に様々なアーティストに楽曲やRemixを提供している。 特に盟友のアーティストSkaaiとは精力的に制作を行い、1stシングル『Period.』、2ndシングル『Nectar.』、3ndシングル『FLOOR IS MINE (feat. BIM)』そして1stEP 『BEANIE』の全曲をプロデュース、業界内外から高い評価を獲得した。

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■なぜ「FINE LINE(境界線)」というテーマになったのか


elabo編集部:社会の動きを敏感にキャッチしつつ、才能溢れるアーティスト活動を展開しているSIRUPさん、Skaaiさん、uinさん。御三方がコラボなさったSIRUPさんの楽曲「FINE LINE(ファイン・ライン)」を中心に、コロナ禍が収まりつつあるこの2023年現在、アーティストとしてどのようなことを考えていらっしゃるのかお話を伺いたいと思っています。まず「FINE LINE」のプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?

SIRUP:1年前くらいに共通の友達の家で会ったんです。僕はこの二人(Skaai、uin)の音源を元々聞いていて、彼ら二人で出した『BEANIE』の中の曲がすごく自分に刺さって、インスタのストーリーに上げたことから元々繋がってはいたんです。それで実際に会って、すぐグループを作ってセッションしようみたいな感じで作りました。

いよいよ三人でやるってなった時に、個人的にこのコロナ禍に入って、社会に対しての発信みたいなものを音楽を通してやっていたので、社会や政治についてどう思うかというのもめっちゃ喋りました。例えば、音楽やってて、アーティストでアートをやってるっていう意識もあるけど、そこにビジネスは必ず関わってくるから、アートとビジネスのバランスをどう思ってるのか、そういう意味でのアートビジネスのファイン・ラインとか、社会と自分のファイン・ラインとか。ほかにも、今大量に情報があって、選択する時間もないぐらい押し寄せてくる状況にあって、自分の意見って自分で選択してるのか考えていかないと、本当の自分さえ見失って、望んで進んでいるつもりかもしれないけど実は進まされたり、流されたりしてるってことが絶対起きている。そういう意味で「自分の立ってる境界線はどこなのか?」っていうことを歌っている感じですね。

Skaai:僕とSIRUPさんが話してる時に自然にそういう話になって、「境界線(ファイン・ライン)」っていう単語がテーマとして、とてもしっくりきました。僕は、周りとは全然違う生い立ちを持った人間だったので、周りと自分との境界性について悩まされた時期もあったし、大学院時代に、言葉を使って論文書く時には、言葉によって社会を区分するような意識があった。言葉によってファイン・ラインを作っていくみたいな、そういう意識が強くあって、ラップを始めて、リリックとして言葉を使うアーティストとしても、そういう意識が続いています。

elabo編集部:冒頭の切り込んでいくようなSkaaiさんのラップが印象的なんですが、具体的なリリックについても教えていただけますか?

Skaai:最初は結構内省的な感じですね。自分と社会、自分と体制とのファイン・ライン、そういう意味での政治も意識しています。政治が機能していない、民主主義といいつつ日本は全然そうなっていないということについて、音楽で何が言えるのか考えてみたというか。Verse2の方が更にアグレッシヴな内容になっていると思います。

SIRUP:政治的な意味でのファイン・ラインで言うと、民主主義が機能していないのは、やっぱり長年自分の意見を言う必要がないっていう教育をされてきたのが一番の原因で、選挙行っても意味ないよねとか、勝ちそうな方に入れた方がいいでしょうとかそうなってしまっている。本当は政治って、全体のことを考えつつ自分のことを考えることだし、自分と他人、社会とのファイン・ラインについて考えるという話でもあるんです。例えば子供がいる人といない人で意見は全然違うし、他の人の仕事と自分のやっていることが全部実は繋がってるとか、自分が今どこにいるか、どのファイン・ラインに立っているのかを知ることだと思う。

自分は普段から音楽以外での発信で直接政治の話もしてるんですけど、根本的には政治も精神性の話かなと思ってて。今回の「FINE LINE」では、直接的な政治ではなくて、その元にある、自分の存在をちゃんと自分で確認する、足元を見て確認しないと、何も始まらないみたいなことを考えていました。それがあって人は、次にどういう社会になってほしいかを考えられるのかなと思ってて。

■「なんかこれ、意外と踊っている場合じゃないかも?」

elabo編集部:uinさんはビートを作ってプロデュースする立場だと思うんですけど、SIRUPさんやSkaaiさんの歌詞やコンセプトに共感したり、それをプロデュースに反映させたりした点はありますか?

uin:そうですね。Skaaiくんのリリックの「傀儡の糸」にあるように、やっぱり実は操られてる、誘導されてるみたいな状況ってたくさんあるんだろうなっていうのは、思うところあって。自分で情報を取捨選択しないと、本当に踊らされちゃう。わからないなりに、勉強しながらどれが正しくてどれが正しくないのか、そういうことを考えるきっかけになる曲になればいいなと思って、ビートはとりあえずもうノリよくてみんな踊れるけど、一度噛み砕いてみた時に、「あれ、なんかこれ、意外と踊っている場合じゃないかも?」みたいな、そういう感じでみんな捉えてくれたらいいなと思うんです。

elabo編集部:色々なメディアで「おしゃれなクラブミュージック」みたいにプッシュされていますよね。それも狙いだったと。

uin:そうですね、踊れることは大前提で、そのあとリリックについて考えてくれたらいいなと。

SIRUP:曲の意味に気づく気づかないって言うのも、実は何となく聴きながら思ってるのに、そこにフォーカスするかどうかの違いかなと思ってて。気づいていないように見えても、みんな何となく気づいてるんじゃないかな。

■無情感

elabo編集部:自分はあの曲から無常感のようなものを感じて、今、コロナが収束してきてはいるものの、ますます全てがどんどん流れてその濁流に追いつけないみたいな無情感があるということと重なってしまったんです。

SIRUP:ちなみにあの曲の中で実際に「無常」って言ってるんですけど(笑)、個人的には、むしろコロナ禍で無情に気付けたことで、前に進めたみたいのがあって。今回の「FINE LINE」が入ったアルバムが4月に出るんですけど、それはまさにそういうテーマなんです。正直、無常でさえも、気づいてない人もいるなと思ってて。例えばコスパとかライフハックとか、「俺は賢く生きてるからそんな感情になってないぜ」みたいに思いながら死ぬほど流されてる人が結構多いなと思っていて。だから俺は、むしろ無常をエネルギーに、「絶望と、無常とちゃんと向き合いながら、表現をするぞ」みたいなテンションになってるんで、自分の中では無情感というのはあると思います。

Skaai:「FINE LINE」に関しては、現在の情報収集の過程をそのまま表している曲だと思うんですよ。音楽を聴いて体が揺れるんだけど、中身が取りこぼされてしまう。例えばどんなに凝ってリリックを書いても、メッセージ性のあるところが受けとられないのは無常感で、まだリリックの内容を全体的に解釈してる人はいないっていうのも、無情感かもしれない。

SIRUP:最近のヒップホップでも、Skaaiは自分のスタンスでずっとリリック書いているなと思う。俺も、結局自分が思ったことしか言えないし、言わない方がいいなと思ってるから、自分のことを歌って、そうすると絶対共鳴する人がいて、そうやって繋がっていく活動が健全なんじゃないかと思っています。

uin:音楽作るのにお金は関係ないけれど、やっぱ生きていくためにお金が要るっていうのがあるじゃないですか。そこのラインをクリアするかどうかをヒップホップだけに限らず、キャリアの浅いアーティストは特に考えなきゃいけない。流行とかもあって、プロデューサーとしては曲の面で、Skaaiくんが伝えたいことを、どうすれば多くの人に届けられるかっていうのを考えます。音楽って聴く人がいてなんぼだから、プロデューサー的には商業的なところもどれぐらい考慮するかみたいなのは、考えながらやっています。

■アートとビジネスのギャップをどうするか

elabo編集部:「聴かれないといけない」という現実があって、その一方で、繊細なアートらしいアートが成り立つことの難しさが、最近だとコーチェラでのフランク・オーシャンのパフォーマンスにも表れていたと思います。アーティストとしてアートを大切にしながら、同時にマス(多くの聴衆)に届けるという点で試みられていることはありますか?

SIRUP:普通の人たちは、自分で仕事をして生活していればそれで十分なのに、ミュージシャンはテレビに出てないとか、大きい公演をしてないと「売れていない」って言われてしまう。でも別に自分の好きな音楽をして飯を食えていたらそれでいいと思います。もちろん才能があったりとか、自分でビジネスするっていう気概がないと、できないことではあるんですけど。そういうことができるようになったのが10年くらい前からじゃないかなと。それでもなおアートとビジネスが分離してるというのは確かにありつつも。自分はビジネス的なものをうまく利用しつつ、ある程度そこから逃げてここまでやってきて、去年、武道館でライヴをすることができた。自分は正直、シーン全体とか、アートとビジネスの間の希望になればいいなって思いでチームで頑張ってきたんだと思います。

フランク・オーシャンのコーチェラでのことは、アートとビジネスもですけど、アーティストとファンの齟齬もあらわにしていたと思うんですけど、俺は二、三年ぐらい前から、セルフライナーノーツとか自分の曲を説明する時間を、インタビュー以外にも設けて、ファンとちゃんと対話するようにしています。日本だと結構説明しない方がいいっていう感覚の人も多いんですけど、知ってもらったところで音楽が浅くなること全くなくて、むしろもっと深いとこにタッチできたりする。音楽ってもっとやばいから、点が見えたことによって布地の織り方の全体がわかって、「それがこんなに繰り返されてこの服になってるの!」みたいな(笑)。正直作っている俺らも、まだ自分たちの作った曲に対して意識的に気付けてないこともある。

uin:フランク・オーシャンのライヴは、ファンが撮ってる動画をYouTubeで見たんですけど、今流行っているJersy ClubとかDrum and Bass的な要素を取り入れた楽曲もあったりして。フランク自身がどれくらい意識してるかわからないけど、トレンドをとりいれてることを考えていると思うんですよ。今、サブスクが発展して、音楽って基本的にリリースして1週間とかで消費されることが多いと思うんですね。それは悲しいけど、実際にはそこはもう変えられない事実というか、一週間で消費されるものを、大切な曲にしてもらうにはどうしたらいいか、アーティストはみんな考えていると思うんです。そこにさっきの話の「無常さ」を感じるけど、利点もたくさんあるし、たくさん曲が世に出て、新しいジャンルもどんどん生まれるし。アートとビジネスのギャップというと、そのことを思いますね。

■点としての作品ではなく、線としての物語のファンになる

Skaai作品一つ一つの重要性が減ってきたと思うんですね。点が重要なんじゃなくて、文脈とか物語が大事になってきた。「前はこういうこと言ってたけど、今こういうこと言ってたら、そこをちょっと矛盾してるよ」とか。「ずっとそういう気持ちでアーティストとして動いてたんだ」とか。その時系列というか、物語に対してファンになる、そういう時代になっていくんじゃないかなっていう気がします。もちろん点として作品のすごさを最大化するのはそうなんですけど、やっぱどうしても商品のスピードが速いから、「点より線」っていう風に、アーティストが考えを変えないといけないかなって思います。

SIRUP:それ聞いて思ったのは、例えば「コミュニティの時代」になっているとか言われますよね。ミュージシャンが表現するものを評価するというよりかは、アーティスト自体がエンタメになってるっていう構造もある。もちろんそれが行き過ぎることもあって、本人の病気だったり、精神的な悩みだったり、そういうもの自体も消費してる人たちもいるっていうのも事実で、それは良くないなと思いつつ、音楽がきちんとベースになった上で、アーティストのその時その時のフェーズをみんなで楽しむっていうのがいいのかなと。考えが変わった方がおもろいと思うんですね。

elabo編集部:今、SIRUPさんがおっしゃったことが本当に重要だなと思います。アーティストに一貫性ばかり求める最近の風潮はよくないなと思っていまして、むしろ「すごく変わった」とか、「二年前と全然違うこと言い出した」とか、「ジャンルまで変わった」とか、そういうことを楽しめたらいいと思うんです。聴く側がアーティストの成長とか変化を期待して聴けるようになったらいいですよね。

Skaai僕もめっちゃそう思ってて。変わったんならしょうがないし、変わったなら、それを出すしかないんだけど、それをどう伝達するかを考えた方がいいと思うんです。ファンに説明をする必要がある。それがプロモーションだと思うし、プロモーション次第だから、どんな点を打ってもいい。問題は線をどう引くかなんだけど、そのプロモーションをしている人が少ない。プロモーションに力を入れようとする人も、せいぜいその1週間のフィーバーにみんな命かけすぎて、それを3年、5年、10年聴かせ続かせるような努力が見えないことが多い。そこの方が問題なんじゃないかな。

uin:自分と同じプロデューサーのMura Masaとか、インスタ見てるだけでも、彼自身のVibesがどんどん変わっているんだなっていうのがわかるし、そういうのが健全かなって思います。

■アーティストとしてのスタンス

elabo編集部:今日お話しいただいているような皆さんのアーティストとしてのスタンスやアティチュードはどのように育まれたんでしょうか?

SIRUP:俺は音楽自体がマイノリティだと思ってるんですよ。音楽業界自体もちろん小さいわけではないけど、世界一の規模の産業でもないし。生い立ちで言ったら母子家庭だったり、元々そういう意識を持っていたのもある。だから世の中には色々なマイノリティがありうるわけで、自分はそれを音楽で表現するんですけど、マイノリティ的な扱いを受ける悔しさとか、体制に対する違和感や思いとかを持っているのかなって思います。

Skaai:アーティストとか表現者って、もう表現しないと生きていけない感じというか、物を作らないと、表現しないと、生きていけないと思う。僕は自分のマインドで、バイブスで、今こういうことを言いたいから言う。それが売れなかったら別の仕事してお金稼いでくって表現は続ける。そういうスタンスの方が多分健全だし、売れた売れないで一喜一憂するのはおかしいかな。商品作っているわけじゃないし。

uin:それで言うとプロデューサーはそこをやっぱりどれぐらい聴かれるかを考えちゃう。俺の作品の場合、何か新しいことをして、誰も聞いたことがないものを出せばいいっていうだけの話じゃなくて、やっぱり聴いてくれる人が増えて、伝えたいメッセージを伝えられた方が俺はいいと思うし。

SIRUP:音楽を作るのって、作る時に成長するし、作り終わった後に「もっとこうできたな」って思いついたりするんです。そういう考え方で言うと、死ぬ時ぐらいに、もう誰に何言われようが大丈夫みたいな曲とかアルバムができていたら、多分それは超幸せやし、それがアーティストとしてのスタンスかなと思う。

■「アジア」が注目される流れのなかで

elabo編集部:最後に、現状USで起きているアジア人クリエイターへの注目について、皆さんがどう捉えているのか、お話を聴かせてください。映画やドラマ、そして音楽も注目作が続いていて、歴史的にも例を見ないほど「アジア」の波が来ているとマスメディア、SNS双方で言われています。「アジア」という括り自体マーケティングの問題ではありつつもチャンスでもあるとは思うのですが、いかがでしょう?

SIRUP:自分も海外リスナーを増やしたい、海外のフェスで自分を試してみたいということもあるので、そういうプラスな動きには絡んでいった方がいいのかなと思いつつ、だからこういう音楽を作ろうとまでは考えてはないかもしれないですね。とはいいつつも、現状海外にいる僕の曲を聴いてくれてるファンにはリーチする努力をしたいし、直接会いたいから、ファンのいる国のライブに呼ばれるにはどうしたらいいかは考えますね。

Skaai:今までは言語の壁があったような気がしていて、でもK-popもですが、日本だけで言うと、藤井風くんとか、もう世界のViral(バイラル)だし歌詞検索サイトの「Genius」とかでも検索の上位だったりして、そういう事実だけ見ても、言語の壁って前よりはなくなってきた。そう言う意味で、本当に世界観の表現次第だなって思うし、評価される対象が総合芸術になっていると思うんです。音楽だけじゃなくて、ライブ映像だったり、映像、VJ全てのものを総合的に、これが僕の世界観ですって売り出さないと、世界で聴かれない、観られないだろうって思う。そういうのを意識しながら、やっています。

uin:プロデューサー的に言うと、New Jeansとかって今の音楽のトレンドを取り入れていたりとか、当時のSPEEDと比較されるくらい衣装が似ているみたいな話があったりとか。やっぱり日本の感性って、間違いなく海外で評価されると思うんですね。アニメとかは前からそうですけど、Y2Kの流れの中で今はそこにファッションとかも入ってきていて。なおさら藤井風さんのように、J-POPの良さを取り入れた楽曲が世界とかで受け入れられたりとかする。

SIRUP:そういうことから改めて日本の自分たちの持ってる歌謡的な要素、J-POP的なエッセンスがオーセンティックというか、個性だと思うし、世界はそれを求めているってのはある。USっぽいものを突き詰めていくっていうテンションが日本の中ではあるんですけど、それはUSにあるから、世界は日本らしさの方を求めてるっていうのが見えてきたのかな。

uin:自分が取り入れるかどうかは別にして、歌謡の要素を含めたことをやりたい人は絶対どこかにいるはずで、きっとまたそれを面白いと組み合わせる人もいて、アジアの盛り上がりとともに、そういうシーンに絶対なるだろうなっていうのは思いますね。

elabo編集部:皆さんのご活躍も含め、今後のシーンが本当に楽しみです。本日は本当にありがとうございました。

2023年4月21日 ZOOMにて収録

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2023/04/25
インタビュイー |
SIRUP、Skaai、uin

【SIRUP PROFILE】ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと、自身のルーツであるネオソウルやR&BにゴスペルとHIPHOPを融合した、ジャンルにとらわれず洗練されたサウンドで、誰もがFEELGOODとなれる音楽を発信している。2021年には2nd フルアルバム「cure」をリリースし、同年「FUJI ROCK FESTIVALʼ21」に、国内のR&Bアーティストでは異例となる初出演でメインステージ GREENSTAGEに立ち、圧巻のパフォーマンスを魅せた。2022年に入ってからも世界的ポップスター「Years & Years」のRemix参加や、アイリッシュ・ウイスキー「JAMESON」、オーディオブランド「BOSE」とのコラボを発表、11月には自身初となる日本武道館公演を開催するなど、日本を代表するR&Bシンガーとして音楽のみならず様々な分野でその活躍を広げている。

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【Skaai PROFILE】アメリカ合衆国・ヴァージニア州生まれ、大分県育ちのアーティスト。日本語・英語・韓国語が堪能なトリリンガル。AbemaTV「ラップスタア誕生 2021」ではその実力とポテンシャルを見込まれ、審査員から高い評 価を得た。2021年11月にリリースした1st Single『Period.』では、新鋭ビートメイカーuinと共に重 層的にジャズとヒップホップの要素を取り入れ、新鮮なラップとソウルフルな歌唱力を世に知らしめる。2022年2月、『Period.』の続編的な意味合いを持った楽曲『Nectar.』をリリース、レッドブル のマイクリレー企画「RASEN」に出演しBose(スチャダラパー)、田我流、BIMとの共演を果たす。 また幕張メッセで初開催された国内最大規模のヒップホップフェスティバル『POP YOURS』に出演した。同年9月にはBIMとDaichi Yamamotoが客演参加した自身初のEP『BEANIE』をリリースし、同年11月には、そのタイトルを冠したワンマンツアー「BEANIE TOUR 2022」を福岡、大阪、東京にて開催した。同年12月には、1年を通したアーティストとしての心情の変化を綴ったシングル「Mermaid」を盟友uinとのダブルネームでリリースした。

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【uin PROFILE】uin.(読み:ユイン) ビートメーカー/プロデューサー。様々なジャンルを横断し、既成の構成に留まらない大胆かつ個性的な展開を、武器に様々なアーティストに楽曲やRemixを提供している。 特に盟友のアーティストSkaaiとは精力的に制作を行い、1stシングル『Period.』、2ndシングル『Nectar.』、3ndシングル『FLOOR IS MINE (feat. BIM)』そして1stEP 『BEANIE』の全曲をプロデュース、業界内外から高い評価を獲得した。

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