<政党学生部代表インタビューシリーズ> 国民民主党・学生部代表・鈴木拓理さん:「本当に政治は動く」という実感から政治の世界へ
国民民主党の最大の強みは、議員と距離が近いので、本当に声が通りやすい、風通しのいい党なんですね。学生部員が言ったことでも、あるいは、街頭で学生が言ったことでも、本当に党の幹部にまで声が届くのです。
#国民民主党 #リベラル保守 #政治と若者
politics
2023/05/26
インタビュイー |
鈴木 拓理
(すずき・たくり)

関西大学政策創造学部1年生。19歳。大阪生まれ大阪育ち。17歳の時に、国民民主党学生部を立ち上げ、2年間国民民主党学生部代表をつとめている。第26回参議院通常選挙では、大阪選挙区の同党公認候補の後援会会長(当時18歳)に就任。

elaboマガジンを運営する私たちも含め、多くの若者が社会問題や政治に関心を持つようになったコロナ禍。この歴史的な災禍から少しずつ平常のペースに戻りつつある今、改めて、若者と政治をテーマに、同世代で政治活動を行っている方々にインタビューを行うことにしました。支持/不支持の問題とは別に、今一番話を聞いてみたい、あるいは疑問をぶつけてみたい政党学生部の方々にお話を伺っています。

elaboマガジン編集部の構成員には、リベラル寄りのメンバーが多く、しかし、特定の問題についてはタカ派であったり、元ネトウヨだったという人も含まれています。私たちの願いの一つは、異なる立場同士でも率直に議論できる場を継続的に作ることです。



木々海々
:今日は、国民民主党・学生部代表・鈴木拓理さんにお話を伺います。よろしくお願いいたします。まずは鈴木さん自身の経緯を話していただきたいなと思いまして、いつから政治に関心を持ち、国民民主党を支持するようになったのか、どうして国民民主党を選んだのか、経緯と理由を教えていただけたらと思います。

鈴木:私が、政治に初めて興味を持ったのは小学校2年生の頃です。東日本大震災が起き、自分の家族や親戚たちが当時の政権・政治に対して、不満を口にしていたことがきっかけです。「何が不満なんだろうな?」という疑問から軽くニュースを見たり、新聞を読んだりするようになりました。ただ、その当時は、特にどこの政党ということもなく、政治家になりたいとまでは、全く思ってなかったです。



■コロナ禍がきっかけだった


鈴木:国民民主党を支持するようになったきっかけは、やはりコロナですね。学校が休校になった時にニュースを見る機会も増えて、自分自身も政治に対する不満というか、当時の何も進まない政治の現状に対して苛立ちを感じていたのが2020年の3月あたりです。当時は旧・国民民主党、つまり現在の前身の国民民主党だったんですけども、その時に玉木雄一郎代表が、一日10万円の給付金や大学生の学費の減免、家賃支援や具体的な中小企業の支援策だったり、具体的な政策を持って与党に対峙し、対案を持って挑んでいました。一つ一つ提案した政策を実現させていく姿に、「政治が動いていく」という実感を持つことができて、玉木雄一郎という男に惹かれました。それがきっかけです。

その1ヶ月後、2020年の5月には、もう旧国民民主党時代の学生部に所属していました。結局、旧・国民民主党は、その3ヶ月後に解党されたので、学生部には3ヶ月しかいなかったのですが。その後、旧国民民主党に所属していた国会議員の多くが新・立憲民主党に参加するなかで、2020年9月に、玉木雄一郎代表をはじめとする国会議員15人で新・国民民主党がスタートしました。当時、30名ほどいた学生部員もほとんどが、立憲ユースに参加・合流する中、私を含む5名で、新・立憲民主党には合流せず、玉木雄一郎代表率いる新・国民民主党に残り、そこから、1年ほどかけて、党本部であったり、議員とも連携しながら、新たな国民民主党でも学生部を立ち上げることができました。

木々海々:自分自身の経験を考えても、コロナ禍を通して政治を自分事として捉えた若い世代は多いのではないかと思います。国民民主党についてさらに伺いたいのですが、国民民主党は他の党と比較すると中道寄りで、先ほどもおっしゃっていたように、いろいろと具体的な対案を出したりしていて、現実主義だという特徴があると思っているのですが、他の政党の考えが極端すぎたり、理想主義すぎたりするという現状をふまえ、それらとは違う姿勢を取っているのかなと思っています。鈴木さんは、他の党の現状についてはどのように考えていらっしゃいますか。

鈴木:私たち国民民主党は「対決より解決」だということを言い続けています。コロナ禍で傷ついた経済、現在の物価高、四半世紀上がっていない給料からもわかるように、もう30年間も日本は停滞し、「失われた30年間」とも言われています。この30年成長していない日本を動かし、何より給料を上げることに解決策を見出さない、問題を真正面から議論しようとしない政党は、無責任だと思います。

国民民主党はこの停滞し続ける日本を動かしていくために、一人でも多く、一社でも多く、国民を助けるために、地道な政策実現にとことんこだわる政党です。国民生活・国民経済を第一に考えて、いち早くそのための政策を掲げ、選挙で掲げた政策は着実に実現に繋げています。例えば、前回の衆議院選挙で掲げた、ガソリン代の値下げ、前回の参議院議員選挙で掲げた電気代の値下げは、いずれもそれぞれの選挙で、国政政党の中で唯一公約として掲げ、実現しています。他の野党も、選挙では、様々な政策を掲げていますが、選挙が終われば、それ以降、本気で政策実現のために動いている野党は、少ないと思います。「野党だから政策実現は、できない」といって、批判や反対だけに終始したり、大臣を引きずり下ろすことに重きを置き、週刊誌片手に相手を批判したり、相手を下げて自分たちを上げようとするようなパフォーマンスに終始するような政党は、私は無責任だと思います。現に、国民民主党は、野党で、衆参合わせてたった20人の小勢力ですが、多くの政策を実現しています。今の野党の中でしっかりとその現実的対案を持って、具体的に政策実現につなげているのは、国民民主党だけだということは、自信を持って言えます。

木々海々:具体的な対案を持って自分でそれをちゃんと実行していく点が、鈴木さんの思う国民民主党の強みということでしょうか。

鈴木:それもそうですし、国民民主党の最大の強みは、議員と距離が近いので、本当に声が通りやすい、風通しのいい党なんですね。学生部員が言ったことでも、あるいは、街頭で学生が言ったことでも、本当に党の幹部にまで声が届くのです。これだけ若い人たちの意見を、本気に真摯に真正面から受け止めてくれる政党っていうのは、なかなかないと思います。

■国民民主党と若者の支持

木々海々:国民民主党は、先日の統一地方選挙でも徐々に議席を増やしていたように思うんですが、具体的にどういった層が支持していると感じますか。活動を通して何か実感があればそれも合わせて知りたいです。

鈴木:そうですね。統一地方選挙は国政選挙とはちょっと手ごたえが違いました。統一地方選挙はかなり幅広い方々に支持されているように感じました。国政選挙だと、街頭演説とかに来てくれてる人に若い人が多かったりとか、「全部の政党の公約を見比べましたけど、その中で国民民主党が良かったです」と言ってくれる中学生や高校生がいたりしました。統一地方選挙はちょっとそれとは違って、地道に選挙区を歩き地道に本当に市民の声を聞いてきた人たちがしっかりと選挙に通ったなというのが感想です。私の大阪では、特にどこかの層というよりかは一人一人の候補者だったり、自分も含め、スタッフや支援者の方々が地元を歩き回ってきたことが実っての、結果だったのかなと思いますね。

木々海々:先ほど中学生の人が街頭演説に来てくださったという話もあったんですが、鈴木さんと近い若者世代への浸透具合はどのように感じていらっしゃいますか?

鈴木:僕は関西、しかも大阪で活動しています。大阪では正直、国民民主党の風は全く感じないんですけど、東京とかだと結構風があって、地方選挙でも若い人にも浸透してるということは聞きますが、ちょっと大阪だと維新さんが強い分、そういった風がまだ全然ないですね。国政選挙だと、前回の参議院選挙の時に、ビラに、インフレ手当てっていうのを書いてることに対して「インフレって何ですか?」というような具体的な政策の質問を街頭で中学生や高校生からいただいたことは多くありました。玉木代表がYouTubeチャンネルをやってるのもあって、他の政党に比べると若干若い層にも浸透してるのかなと。ただ、若者全体で言うと、やはりまだまだ政治自体に関心を持てない人たちが多いと思うので、手応えを感じるにはまだちょっと不十分だなと思ってますね。

■大阪で維新の政治について思うこと

木々海々:大阪という話が出てきたので関連しての質問なんですが、先ほどもおっしゃっていたように、大阪は維新の影響がやはり非常に強いじゃないですか。そういった中で、維新の政治のやり方について、鈴木さん個人はどう捉えてらっしゃいますか。

鈴木:これは党としてではなく、個人としての考えなんですが、僕は正直なことを言うと、維新の会が大阪でやってきた政治は、議会や合意形成というところが軽視された政治のように思っています。

今回の地方自治体の議員の候補者のビラを見ていると、例えば一番に議員報酬の削減、二番に市長報酬の退職金削減、三番に議員定数の削減といった公約だけが掲げられていることがありました。そういう人が全てだとは言いませんし、僕も維新の会の議員さんでも信頼している方も多くいらっしゃるので、もちろん人によるとは思います。ただ、やっぱり自治体議員の1番の仕事は、街づくりだと思うので、たとえば、この人生100年時代で、高齢者の人たちが最後にこの街住んで良かったと思える街づくり、子育て世代の人が、子育てしやすいと思える街づくりを、市民の皆さんの声を聞いて、その声とともに一緒に街づくりをしていくということが地方議会の1番の重要な役割だと思うのですが、そのような街づくりの政策が一部の人には、欠けている気がしました。

特に、大阪府議会、大阪市議会を見ていると、議会が知事・市長の言いなりのようになっていて、本来の地方議会として機能をしていないように感じます。また、これ以上議員の定数を削減してしまうと、さらに民意が反映されづらくなりますし、もっと合意形成を大事にして欲しいと思っています。現に、私自身大阪で活動していても、維新か反維新かといったような分断が、大きくなり過ぎてるように感じますね。

だからといって、我々国民民主党は、維新対反維新という争いに与するつもりはないんです。今大阪府議会、大阪市議会で維新が過半数以上とっている中で、維新に本当に対抗できる野党は、現実的な対案・政策を持っている国民民主党しかないと思っています。正しいものには、賛成をし、間違っているものには、しっかりと現実的な対案を示すことができるのが、国民民主党です。

■リベラルと保守は両立しうる


木々海々
:次に「若者と保守」というテーマで質問させていただきたいと思います。先進国では多くの若者が左傾化していると言われている一方で、日本の若者は保守化していると言われることがあるのですが、鈴木さんは、日本の若者が保守化していると感じますか。

鈴木:そうなんですか、初めて聞きました。保守化している……どうなんですかね、自民党に入れてる人が多いっていうのは事実だと思うんですけど、それも別に若者が積極的に自民党を選んでいる感じではないと思うので、保守化してるとは実感しなかったですね。現状維持っていう感じではないでしょうか。

木々海々:確かに「とりあえず知っている名前だから自民党に入れよう」みたいな若者も多いように感じますね。とにかく、与党や野党関係なく、どんな政党があるとか、政党ごとの方向性とかを多くの若者に知ってもらうことが、まず大前提として、もっと必要なんじゃないかなと私も思います。

鈴木:僕も大学の授業を聞いてて、国民民主党だけ授業の中で名前が取り扱われなかったりとか、国民民主党の党首の名前だけ忘れられたりとか、そういうことが多々あったりするんですよ。もっと国民民主党の存在を知ってもらいたいという気持ちは本当にありますね。

木々海々:保守についてもう一つ質問があるのですが、中島岳志さんという方が「保守」という考え方についていろいろと本を書かれていて、私も興味を持ち読みました。中島さんは。保守という考え方について、イギリスの政治家であるエドマンド・バークの考えを援用しながら「人間は、永遠に不完全であり、そしてどんなに頭がいい人でも、間違えたり、誤認をしたりする。だから、そんな人間によってつくられている社会というのは、やっぱり、不完全なまま推移せざるをえない。なので、革命なんかよりも、長年のあいだ、無名の人たちが歴史のふるいにかけて、風雪に耐えて残してきたような経験値とか、慣習とか良識、常識のようなものに依拠しながら、しかし世の中は変わっていくので、ちょっとずつちょっとずつ手入れしていけばよろしい」と説明しています★1。つまり、近年の右派に見られるような「海外勢力に屈せずに本来の日本を取り戻すべきだ」みたいな「復古」の考えとは違った考え方をしてるんですよね。私自身は、そういう意味での「保守」なら自分にも多少当てはまるところがあるなと感じるんですが、鈴木さんは、こうした「保守」についてどう考えますか?

鈴木:完全に僕は保守だと思いますね。僕は「リベラル保守」という言葉をよく使いますけども、リベラルと保守って全然対立しないと思うんですね。リベラルでありながら保守である。保守っていうのは、別に何も変えないわけじゃなくて、先ほどおっしゃっていただいた通りで、変えるべきところは変えていくっていうのが保守だと思います。僕も同じ認識ですので、その意味で「保守」だと思いますね。

木々海々:確かに、中島さんの著作の中にも、『「リベラル保守」宣言』というタイトルの本がありました。単に左派に反対するだけではなくて、左派とかリベラルとか呼ばれる人の考え方も取り入れながら保守の立場をとるということは決して不可能ではないと私も感じます。

私自身は、どちらかといえば政策的にはリベラル支持なんですが、他方で、日本ではいわゆる保守や右派と自称する人たちの方が左派よりも、宗教や文化に対する考え方について、人間らしさだとか、美学みたいなものを大事にしているような印象があるのですが、鈴木さんとして何か思い当たるような点はありますか?

鈴木:どこの政党が「保守」と名乗っているのか、正確には分からないのですが、最近出てきた参政党さんとかは、僕は保守とは言えないと思います。そうですね……「保守」と名乗りながらスピリチュアルなことをおっしゃっている方も結構増えてきたな、という印象はありますね。

 

■ 若者に政治に関心を持ってもらうために、敷居を下げていきたい

木々海々:最後に、若者の政治参加に関する質問をいくつかさせていただきます。政治を取り巻くカルチャーについては、高齢の男性がずっと主導権を握り続けていて、昭和の頃からあまり進歩や変化がないように見えるんですよね。特に鈴木さんのように、10代のうちから積極的に政治に参加するような人は、日本ではまだまだ珍しいんじゃないかと感じているんですけど、同年代の友達や知り合いの人とどれぐらい政治の話をなさいますか。

鈴木:深くは話さないですね。投票のお願いとかはしていますが。僕が国民民主党の学生部としてやってることは全部SNSで明らかにしてるし、僕の友達は理解はしてくれています。例えば駅で活動をしていると、声をかけてくれたり、応援してくれていますが、深く政治について話す、活動するという形にはなっていないですね。投票のお願いをしたら、入れてくれるという状況です。

木々海々:私自身は、政治に対しての意見を十分持つにあたってまだ知識が足りてなかったり、もし何か意見を持っていたとしても「他の人と対立するのは怖い」みたいな考えを持っていたりする人が多いんじゃないかと感じています。

若者に対してもっと積極的に政治に関わってもらうために、鈴木さんは、どういったアプローチをしていきたいと思いますか?

鈴木:「政治は身近なんだよ」とアプローチしていきたいです。国民民主党学生部が活動の一つとして、特に取り組んでいるのは、国民民主党、さらには政治自体の敷居を下げるということです。以前、大阪では、Yogiboがいっぱい置いてあるようなくつろげるスペースで玉木代表や他の政治家も囲んで、ゆっくりと話ができるようなイベントを開催しました。本当にいろんな相談ができて、「自分が意見を言えば本当に政治が動くんだと実感できた」と言ってくれた人がいましたし、このイベントがきっかけで学生部に入ってくれた人も多かったです。だからこそ、やっぱり政治の敷居を下げる、政党の敷居を下げるというところが本当に大事だと思いましたし、そういうアプローチで学生部としても党としても、しっかりやっていきたいと思います。

■関西、大阪出身者として思う事

木々海々:鈴木さんはプロフィールに「大阪生まれ、大阪育ち」と書いていらっしゃることからも、地元愛が強いのかなと想像していました。私は兵庫ですが、やはり地元というか、地方にも可能性があると信じているのですが、政治活動をする上で、大阪への想いというものはありますか?

鈴木:大阪は、本当に楽しい街で、自分にとっては、本当に居心地のいい街です。たくさん人が集まる賑やかな繁華街もあれば、少し足を延ばすと、自然豊かな遊べる場所も多くあります。何より人が本当に皆さん温かいですし、僕はこの大阪が本当に大好きです。まだまだ大阪は可能性を秘めていると思っています。この大阪で、政治の道を志したいという思いが、今自分の中では、非常に強いです。

木々海々:お話を伺っていて、鈴木さんは自分が生まれ育った街に愛着があって、まだまだ可能性を秘めていると感じているからこそ、国民民主党の「市民の声をしっかり聞いて着実にかなえていくやり方」に共感したのだと感じました。私自身も、改めて今自分が住んでいる街をより良くするために、ひとりの市民として、有権者として何ができるか考える機会となりました。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

★1 ―――土井善晴、中島岳志『ええかげん論』ミシマ社、2022より

politics
2023/05/26
インタビュイー |
鈴木 拓理
(すずき・たくり)

関西大学政策創造学部1年生。19歳。大阪生まれ大阪育ち。17歳の時に、国民民主党学生部を立ち上げ、2年間国民民主党学生部代表をつとめている。第26回参議院通常選挙では、大阪選挙区の同党公認候補の後援会会長(当時18歳)に就任。

インタビュアー |
木々海々

水瓶座。いろいろなエンタメをつまみ食いしている。座右の銘は「共感より共存だ」。

クラウドファンディング
Apathy×elabo
elabo Magazine vol.1
home
about "elabo"